日々是ジャグリング

ジャグリングを通じて感じたこと考えたことを綴っていきます。

【乱文注意】「気持ちわるい」について考えてみる―とあるジャグラーの呟きからの連想

どうも、ゴ~チョです。

今回の記事は賛否が分かれそうですね。僕自身もあまり確信をもって書いているわけではないので、ご意見あれば伺いたいです。

「同じ技をしても女子の方がいいねやRTが多いのは気持ちわるい」

先日Twitterでこんな呟きを見ました。一字一句正確な引用ではなく、僕が読んだ後フィルターを通した意訳的な文なので、元の発言者の意図とはずれてきてしまっているかもしれませんが、大体こんな文です。

「(ジャグリングの)同じ技をしても女子の方がいいねやRTが多いのは、姫扱いっぽくてなんか気持ちわるい」

そう発言した人を晒し上げるつもりも個人的に喧嘩を売るつもりもなくて(なので呟きの主のアカウント等をここに敢えて記載する気はありません)、その現象に対して「気持ちわるい」という反応があることに、僕はある種の懐かしさを感じてしまったんです。

「気持ちわるい」のはどんなとき

ここでいう「気持ちわるい」はもちろん身体的な嘔吐感の話ではなく、精神的な嫌悪感の話をしているのはわかると思います。身体的にせよ精神的にせよ、「気持ちわるい」という感覚は、少々乱暴なまとめ方をしますとまあ大体、自分の予想・期待するものと現状目の当たりにしているものとのギャップに帰結するのかなと思っております。タコのような軟体動物の動きを気持ちわるいと感じるのは、我々のように硬い骨があると予想・期待したときの動きとはギャップがあるから。乗り物酔いするのは、視覚から期待される状態と三半規管が感じている状態にギャップがあるから。

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件の呟きが訴えている「気持ちわるさ」の根底にはどのような期待とギャップがあるのか考えてみます。
まず「気持ちわるい」のは、同じ技をしても女子の方がいいねやRTが多い状況のこと(いちいち長いので以下「いいねの性差」とします)、そしてそれを「姫扱い」に喩えているのですから姫扱い自体も「気持ちわるい」と評価されていることになります。いいねの性差がある状態や姫扱いは、期待される状態とギャップが存在するわけですね。ここで期待される状態とは何か。おそらく、同じ技につくいいねの数に性別による格差がない状態、ちやほやされる頻度に性別による差がない状態を指すのではないかと思います。

性別以外の条件は果たして同じか?

ここまで整理して気になるのは、「同じ技というけれど、性別以外の条件は厳密に同じなのか」という点です。
一旦性別は無視して(どちらも男性あるいはどちらも女性だと考えてください)下記の思考実験を試みます。

思考実験①身だしなみ:芋ジャーと衣裳

いかにも部屋着ですという恰好の人と、パリっと決めた衣裳を着た人。他の条件が同じ場合、どちらの動画を見たいですか?

思考実験②表情:無表情と笑顔

仮にどちらも部屋着だったとして、むすっと無表情の人と、笑顔をたたえてパフォーマンスする人。どちらの動画を見たいですか?

思考実験③背景:散らかった部屋と整った部屋

今度は撮影のロケーションの話です。服やら教科書やらが意図せず写りこんでいる部屋と、余計なものは画角外に除けた整然とした部屋。演者の条件は同じ場合、どちらの動画を見たいですか?

思考実験④画角:撮り直さなかったの?

前後の流れでわかるけど肝心のキャッチが死角に入って見えない技動画と、全容がはっきり写るまで撮り直した技動画。どちらが見たいですか?

ノイズはどこにあるのか

おそらく大抵の人は、①~④いずれのケースでも後者を選ぶのではないでしょうか(後者側の動画を見飽きて新鮮味を求めだした人は別です)
以前の記事で漫画『金色のガッシュ』のエピソードになぞらえて、同じ技でも気にかけている要素(情報量)が増えるとクオリティが上がる、というような話をしたことがありますが、上記4つの思考実験はまさにその例です。

juggling-gohcho.hateblo.jp

 

で、ここから思い切り個人的な偏見が入るのですが、上記4つに関して、男子ジャグラーより女子ジャグラーの方が気を配っている傾向があるように思います(とても凝る人は男子の方が多いですが、男子は気を配る配らないの振れ幅が大きい印象)
技評価に対するノイズはむしろ性差以外によるところが大きいのではないかと個人的には思います。

「いいね」に込められた意味の多様性

ところで、これを読んでる皆さんは、Twitterの「いいね」や「RT」ボタンはどのようなときに押しますか?
僕は「いいね」を面白い/すごい/ためになるといった【感動/賞賛】の文脈以外にも、このリンクは後で開こう/この動画は後で見ようといった【ブックマーク】的な使い方や、この人にリプライまでするのは流石におこがましいからせめて読んだ痕跡だけでもという【既読通知】的な使い方をしたりしてます。「RT」に関しても【拡散】より自分のための【ブックマーク】に近い使い方をするときがあります(「いいね」ツイートが自分がいいねした順に並んでくれていなかった時期は特に)

いいねのパターン

  • 【感動/賞賛】:本当にいいね
  • 【ブックマーク】:後から読むね
  • 【既読通知】:読んではいるね

RTのパターン

  • 【拡散】:みんな見逃すな
  • 【ブックマーク】:自分よ見逃すな

同じ「1いいね」でも人によってその意味や重みは違ってくると思うんです。例えば、ひとつひとつの動画なんかろくに観ていないけれども簡単に「いいね」してくれるフォロワーさんばかり集めたら、おそらく「いいね」の数自体は稼げるようになるのではないでしょうか。そして、「いいね」の打率が同じでも単純にフォロワー数が多い方がヒット数は稼げます。
そう考えると、「いいね」や「RT」の数は、Twitter利用の巧妙さの指標にはなっても、ジャグリングの技に対する真っ当な評価の指標にはなりにくいと思います(そもそもTwitter上にいるのはジャグラーばかりではない)

「気持ちわるい」から自分はどうするのか

ジャグリングの技に対して真っ当な評価を得たいのであれば、そもそもTwitter(というかSNSは)不利です。男女を問わずキャラの濃い人にとって食われます。競技会に出るなりしてその道の先達からの評価を受ける方がよほど建設的でしょう。

「気持ちわるい」=「自分の期待と異なる状態」から脱するために、異を唱えたり文句を言ったり。ついつい周囲を変えようとしてしまいがち(勿論それが必要なときもある)なのですが、自らフィールドを移る、戦略を変える方が断然ラクだったりします。

「他人と過去は変えられませんけど、自分と未来は変えることができるんですよ。」 オシャンティ斉田(コメディマジシャン)

なんだか色々と脱線してしまいました。
自分の中にあった似たようなモヤモヤを、一度整理してみたかっただけなんですよね。
ダシに使ってすみませんでした。

ではまた!