日々是ジャグリング

ジャグリングを通じて感じたこと考えたことを綴っていきます。

【道具の色】揃える理由、揃えない事情

 どうも、ゴ〜チョです。そろそろサークルに新入生が定着し始めた時期でしょうか。
 僕が初めてジャグリングボールを買ったのは高校生のときで、東急ハンズの「マジックコーナー」にあった4枚はぎのノーマルビーンバッグでした。色は赤白、青白、緑白の組み合わせだったと思います。


 のちに大学のジャグリングサークルに入ったときに先輩から言われた一言に僕は衝撃を受けます。

「道具の色は揃えたほうがいいよ」

確かに他の先輩方を見てみると、各々好きな色を選んではいるものの個々人の道具の色はそれぞれ統一されていました。

え!じゃあなんであの店ではバラバラの色3個セットで売ってたの?

 ということで今回は、かつて人から聞いたものや後々に自分で実感したものを含めた「道具の色を揃える利点」と、逆に「色をバラバラにする利点」をご紹介します。(※ここでいう「色を揃える」は、”持ち物の色はすべて緑で統一!”といったトータルコーディネートの話ではなく、各道具内において色を揃えるべきか否か、という話です)

 

色を揃える利点

見え方に偏りが出ない

 これは観客にとってというよりも演者にとっての見え方への影響が大きいですが、きつい照明の下や夜の屋外などでは、明度の低い色が見づらくなったりします。道具の色を揃えておくと、見づらくても見づらいなりに目が慣れてくるのですが、道具の色がバラバラだと見やすさに偏りが出て、ひどいときは技の途中で完全に見失ったりすることがあります。

 また、ステージの背景と道具の色味が近いと、今度は観客側から道具が見づらくなります。演者と観客双方の「見えやすさ」を安定させるためには、色を揃えておくとよいです。

ステージで予備を用意しやすい

 ステージでジャグリングを披露する場合、自分ではすぐに拾えない場所に道具を落としてしまうときがあります。そんなときは円滑なステージ進行のために、落とした道具はいったん無視して予備の道具を使うことがあります。色が揃っていればどの道具を落としたとしても同じものを補充すればいいので準備と対応がとてもラクです。

補充・貼り替えがラク

 先ほどの「予備を用意しやすい」と近いのですが、同じ色で揃えたうえで普段使うよりも少しだけ多い個数の道具をもっておくと、道具が損耗したときの交換がラクです。さらにビーンバッグの場合、布地の違いなのかわかりませんが色によって微妙に道具の寿命が違う気がします。色を揃えることが寿命を揃えることにもつながったりします。

 また、クラブやシガーボックスなどは元のラインナップに加えてカッティングシートというものを貼ることで自分の好きな色にデコレーションすることができるのですが、カッティングシートは画材屋さんやホームセンター等でメートル単位のまとめ買いができるため色を揃えておくとその辺の管理がラクです。僕は一時期シガーボックスを最大6色に貼り分けていたのですが非常に面倒でした。シガーは平面なのでまだいいですが、クラブだと曲面にきれいに貼らないといけないのでもっと大変ですね。

 

色を揃えない利点

なんとなく華やか

 ボールの初心者セットがバラバラの色で売られてるのはこれが理由かなと思います。最初の道具購入は、ある意味8割くらいは「期待感」「ワクワク感」を買ってるようなところがあるので。ジャグリング→クラウン(道化師)→カラフルみたいな連想の図式で、ビギナーには単色揃えよりも買ってもらいやすいのかもしれません。もちろん、単なるイメージ戦略だけでなく、下に続く理由もあってのことかもしれませんが......

複雑なパターンの解析に

 ボール初心者の場合、バラバラ色に一番お世話になるのはミルズメスの動きを理解するときだと思います。各道具で動きがてんで異なる技の解析・練習にはバラバラ色が適しているでしょう。初心者の方が自分で使うのもそうですが、初心者の方に技を教えるときもバラバラ色は役に立ちます。

エンデュランスのカウンターに

 例えばボール3個4個のうちはそこまで気にならないのですが、ボールが5個6個と増えてくると、自分のキャッチ数をかぞえるのも大変になってきます。そんなとき、使うボールの色を一個だけ違う色にして、そのボールが同じ手に戻ってくるのが何キャッチ目かを覚えておくと、数える手間をある程度軽減できます。トス系であればリングやクラブにもこの方法は応用できますし、技によってはシガーボックスやシェイカカップにも使えます。

5個目や7個目を強調

 パフォーマンスの途中で道具を追加する際、その追加道具の色をいままで使っていた色と別にしておくと、「追加したこと」を強調できます。小題のように必ずしも「5個目」「7個目」でなければならないわけではありません。トス系道具だと4個目や6個目よりも、5個目7個目で色を変える人が多いような気がします。シガーボックスだと4個目、デビルスティックだと2本目の道具から色を変える人もいます。

パラソルか単色か

 これはボールに限った話ですが、全体の色の統一の話ではなく個々のボールの柄についてです。ロシアンボール派の方にはあまり関係ありませんが、ビーンバッグには縫製の布を1色に統一した「単色」タイプのほかに、2色または4色を使った「パラソル」タイプがあります。ジャグリングショップの商品を見渡すと、なぜか初心者セットにはパラソルが多いです。一方プロは単色を好んで使う傾向にあるように見受けられます。

 

 ただ、これに関しては「単色を好む」というよりも、「プロが好むサイズでパラソルの商品展開が少ない」というのが理由のひとつかもしれません。ステージや大道芸では見映えを考慮して少し大きめのボールを使うことが多いのですが、パラソル柄はノーマルサイズより大きいサイズでは用意されていないからです。
 なので、「いつまでもパラソルを使っていると上手くならない」「単色を使っている方が上達が速い」などということは特にありません。プロ選手と同じモデルのスポーツウェアを使うと少し上手くなった気になることがありますが、それと同じでせいぜい心持ちの違いです。自分の気に入っているものを使ったらいいと思います。

 

裏表同色か別色か

 これは形状として裏表がある道具(リング、エイトリング、シガーボックス)に関係する話です。これらの道具は両面あるうちの片面に異なる色をつけることで、観客側に見えている色をパフォーマンス中に変える「色変え」なる技をすることができます。

 特にシガーボックスの「色変え」に関しては難易度のわりに印象に残りやすい技なので、できる技が少ない初心者のうちは積極的にレパートリーに取り入れてほしいと個人的には思います。また、トス時の回転数の感覚をつかむためにもはじめのうちは裏表別色にしておくことをおすすめします(エイトリングは裏表が反転する方向に投げることがほぼないのであまり関係ないですね)

色が不揃いであることを活かした技や演目があってもいい

 あらためて書き出してみると、道具の色を揃えるのはおしなべて言うと「そのほうが面倒事がすくない」とまとめられるかもしれません(乱暴)。しかし、既存の技の中にも特定の色の組み合わせでより面白く見える/印象が変わる技が実はいくつかあります。

 ジャグリング以外のジャンルを見渡してみると、カクテルのなかには材料となるお酒の種類だけでなく銘柄まで指定するものがあったり、オーケストラの楽曲には演奏に卓球のスマッシュを使用するものがあったりします。ジャグリングの技や演目にも道具の色味までこだわって指定したものがあってもいいんじゃないでしょうか。僕が知らないだけですでにたくさんあるかもしれないので、今度調べてまとめてみようかと思います。
ではまた!


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