【検定8級】落としたんじゃなく置いたんです―技の枝話その15:キックアップスタート
どうも、ゴ~チョです。技の枝話、15個目の技はキックアップスタートです。これで現ジャグリング検定の8級技が揃いました。
キックアップスタート(kick up)
どんな技
上の動画の5つ目の技です。足の甲にボールを乗せて跳ね上げます。足の甲にボールを乗せてから脚を動かせばよいので、厳密にはこの動きを「キック」と呼んでいいのかどうかわかりません。ただ慣例的に「キックアップ」と呼んでいます。検定の規定ではキックアップ後そのままカスケードを6キャッチ以上続けられれば成功と判定されます。
実はキックアップには上記の「片足スタイル」の他にもう一つ、両足にボールを挟んだ状態でかかとをお尻にぶつけるようにジャンプし、その勢いで背中越しにボールを飛ばす「両足スタイル」があります。検定の合格条件には「足の甲にのせたボールを蹴り上げてカスケードに入る」とあるので、認められるのは片足スタイルのみのようです。
まずは足に乗せる練習
もはやキックアップに慣れ親しんで久しいジャグラーは忘れがちですが、実はキックアップ以前に足の甲に物を乗せるというのが未経験だとなかなか難しいです。まず乗せる練習をしましょう。
足の甲にボールを乗せるのは、裸足のときが一番感覚を掴みやすいです。ボールを乗せる位置は人それぞれですが、僕の場合は中指〜小指の付け根あたりに乗せると据わりがよいです。足の形によってはすんなり乗る人と、ボールが転がり落ちてしまう人がいると思います。ボールが転がり落ちてしまうときは、足の指を上げる、足の甲を少し内側に傾けるなどして食い止めましょう。
靴で練習するときは、甲部分が広くて平らな靴を選びましょう。下の写真のような靴ひものないスリッポンタイプの靴がおそらく一番やりやすいです。
下駄やサンダルで練習するときは、間違えて履き物のほうを飛ばさないように気をつけてください。
ロシアンボールでもビーンバッグでもこの技は可能です。感覚はそれぞれ異なり一長一短ありますが、総合的なやりやすさは大差ないと思います。ビーンバッグだと上からギュッとして形をつぶせる分、技の前に甲から転がり落ちるリスクは若干少ないです。
ボールを乗せるときに、初めは手を使って乗せればよいですが、もう一方の足を使って乗せられるようになるとわざわざ腰を折ってかがまなくていい分QOP(クオリティオブプラクティス:練習の質)が上がります。ちなみにこの技術を覚えると、ジャグリング以外でも生活のあらゆる場面で床にあるものを足で拾いたくなる副作用が出ます。脱ぎっぱなしの靴下も簡単回収。
蹴るというより押し上げる
「キック」と技名に入っているので足を前方に蹴り上げたくなるのですが、それだとボールのコントロールが難しいうえに脚の柔軟性が高くないと不格好になりがちです。脚の動きとしては太ももはあまり上げずに膝から先をたたみ込むような動きになります。足の甲を水平に保ったまま、外側のくるぶしを同じ側の手に当てに行くようなイメージで足を上げると上手くボールが跳びます。「蹴る」というより足の甲でボールを「押し上げる」といった方が感覚が近いかもしれません。ちなみに、蹴り上げるときに上半身はあまり折らずにまっすぐを保っておくとスマートに見えます。
こんな技につながる
- キックアップスタート両足スタイル(検定外)
- ビルドアップ(検定外)
- フットストール(検定外)
- 2イン1フット(検定外)
- フットバッグの技各種(検定外)
検定では認められませんが、キックアップの方法には上で紹介した「両足スタイル」なるものもあります。下の動画の1:18~1:55あたりです(余談ですが1:33あたりから始まるOlga Galchenkoさんの小躍りがカワイイ)。この方法が面白いのは、挟み方を工夫すれば2個同時飛ばしなども可能なところです(残念ながらネット上で紹介できる動画は見つかりませんでしたが、昔サークルの後輩が成功させているのを見てびっくりした記憶があります)。
ビルドアップは、既にジャグリング中の状態からボールをキックアップしてそのままボールを増やして技を続行することを総じてこう呼びます。同じく下の動画で二人が終始やっているのがそれです。
フットストールは、「キックアップからつながる」というより「キックアップへつなげたくなる」技です。投げたボールの勢いを足の甲でうまくいなしつつキャッチします。サッカーのリフティングにも同じ技術がありますね。下の動画の3:19あたりから、Victor Kee 氏の華麗な連続フットストールが観られます。この動画では1:03あたりに「足で拾って蹴り上げるまでの流れ」、3:29に「キックアップの側面アングル」、3:49に「両足キックアップ」と、お手本にしたいシーンがてんこ盛りです。
自分でキックアップしたボールを同じ足でストールできるようになると、今度は2イン1フットに手を(足を)出したくなります。「フットバッグ」というお手玉大の布ぶくろを足のみで扱う競技があり、そちらの技をトスジャグリングに取り入れているジャグラーもいます。(ここで、Peter Irish氏の神足技をお楽しみください。)
リカバリーにも使える
キックアップ「スタート」という技名なのでもちろんルーチンの開始時などに使うとよい技ですが、例えばルーチン途中でドロップしたときの復帰法にも使えます。うっかり1個落としてしまったときは慌てて拾いに行かず
「これはね......落としたんじゃなくて置いたんです。この技を見せたくてね......!」
というていでおもむろにキックアップでリカバリーしてください。ではまた!
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