日々是ジャグリング

ジャグリングを通じて感じたこと考えたことを綴っていきます。

ジャグリングが登場する作品の紹介(7)―ナカタニD. 『お聞くさん』

aubeの『SHAREHOUSE』を観に行きたかった人生だった。ゴ~チョです。
実は先週の土日にジャグリングの公演がありました。
過去記事でも少し紹介した早稲田大infinity所属の稲葉くんが主催の公演団体です。

juggling-gohcho.hateblo.jp

観に行った方はレポートと感想をば...

 

今回の記事は『ジャグ作』(略した)7本目です。

 

ナカタニD. 『お聞くさん』

お聞くさん (ビッグコミックス)

お聞くさん (ビッグコミックス)

 

 

心理学・社会学に裏打ちされたお悩み解決オムニバス

人はみんな、誰かの間で生きている。
人はみんな、家族の中で生きている。
誰かの間で、家族の中で、
人はみんな悩みを抱えて生きている。
そんな悩みを聞いてくれる
「誰か」がいたら、
いいと思いませんか?

(コミック裏表紙カバーより引用)

 

通りすがりの人々の悩みを聞き、解決の糸口をそれとなく仄めかすおばあさん。
通称「お聞くさん」
各話は一話完結でお聞くさんの相談相手は毎回変わります。
全9話構成で、ジャグリングが登場するのは第8話です。

 

ナカタニD.さんは心理カウンセラー監修のもと
職場系心理学の漫画も描いているためか
お聞くさんのお悩み解決にも心理学・社会学の知識が
活用されています。

マンガでわかる 会社組織が甦る! 職場系心理学 (じっぴコンパクト 62)

マンガでわかる 会社組織が甦る! 職場系心理学 (じっぴコンパクト 62)

 

 

僕は学生時代心理学専攻だったので
登場する心理学用語に懐かしさを感じつつ
作中での例示・応用のされ方が自然なことに感嘆しました。

大学の授業なんかでさらっと紹介してもいいんじゃないかと。

 

もしや、あなた様は...!

ジャグリングは第8話『キャッチボール』に登場します。
フリーライターの娘が、父親の元勤め先を取材することになったのですが
寡黙な父とそっくりな話しづらい相手ばかりで取材が捗りません。
そもそも父のこと自体よく知らなかったことに気づいた娘は
これを機会に試みに父に「履歴書」を書かせてみます。

 

その履歴書から、父は定年退職後ジャグリングの講師をしていることが発覚。
少しでも父を知るためと、娘はカルチャーセンターに足を運びます。
そこでこだまする父の威勢のいい掛け声。
ひとつのボールを使ってジャグリングの動きを取り入れつつ
エアロビクスのような運動...

 

ジャグササイズだっ!

 


ジャグササイズ 【プロモーションビデオ】

 

そして、お父さん、その黒のウェアといい帽子といい
その恰好は...

 

ダンディGOさんではありませんかっ!

 

実際、本作品ではダンディGOさんに
ジャグリングの取材協力をいただいて構成しているようです。
奥付近くにお名前が連なっておりました。
それにしても誰に取材したかジャグラーなら)一目でわかるほど
画にその影響が如実に現れています。


ジャグリング未経験の方に断っておきますが、
父とGOさんがかぶっているあの不思議な帽子は
かぶると上手くなるジャグリングウェアとかではありません。

 

とることよりも投げる勇気

ともあれ娘は父のジャグリング教室に通ってみますがなかなか上達しません。
苦戦する娘に対して父はこう言います。

ボールをとることに一生懸命だからです。
投げる前にとろうと意識しちゃうんで、慌てるんです。
で、慌てるからまたとれなくなる。

そしてこう付け加えます。

とることよりも投げる勇気

ジャグリングの「パッシング」という技でも同じで
下手な人は上手な人に委ねてとりあえず投げることに注力すると
上手な人がフォローしてくれて長く続いたりします。

 

娘は父の言葉を受けて
会話や取材も同じで、「聞くこと」「受け取ること」に
必死になりすぎていた自分に気づきます。

「会話のキャッチボール」ではなく「会話のパッシング」ですね。

ジャグリングと会話の共通点に気付いた作者の観察眼の鋭さに舌を巻きます。

 

ジャグリングの描写・説明は基本的にとてもリアルで忠実です。
ひとコマだけ、お父さんがボールを受け取る手が逆のシーンがあるのですが
娘のイレギュラーボールをアドリブでキャッチする場面なので
間違いというには厳しいかもしれません。

 

実写ドラマ化とかされないかな

読んでいて、実写ドラマとか作りやすそうだなと思いました。
いい意味で登場人物に変な個性がないので、
キャストが原作キャラと乖離することも少なそうです。
ただ、TVドラマにするには主人公に毒や影がなさ過ぎるかもしれません。
(多分お聞くさんの過去とかに触れないと気が済まないんだろうな。)

ではまた!

 

お聞くさん (ビッグコミックス)

お聞くさん (ビッグコミックス)