こんにちは、ゴ~チョです。
これで十回目の投稿。我ながらよく続いたものです。
(投稿時間は乱れてますが)
前回に続き、今回もジャグリングが登場する作品の紹介をします。
第二弾はこちらです。
『ジャグリング・ラプソディ』霧野ひとえ
淡い背景にシルエットのみのシンプルな表紙
例によってこの軌道である
もうこれはしょうがないのかなと最近思い始めました。
リアルなボールの配置描くよりこちらの方がレイアウト的にスッキリしますもんね。
内容は、医学部を中退して大道芸人になった青年の話です。
ページ数は少なく、文字も大きいのでサクッと読める文量です。
前回と同じく文芸的評価は偉い人に任せてジャグラー目線で語っていきます。
ジャグリングのことあんまり知らないのかな…?
まず目を疑ったのが読み始め1ページ目のこの箇所
警察官の目を盗み見ながら
警察官の目を盗み見ながらぁ?
公共の場所でパフォーマンスをしている大道芸人さん。
ゲリラでやってるように見えますが、多くは自治体が定めた資格を得て
ルールを守ってパフォーマンスしています。
東京の例
大阪の例
大道芸人さんがみんな警察の目をかいくぐって生きてると思ってないよね?
と疑いたくなるような一文でした。
気を取り直して読み進めていきますがジャグリングの描写はまだありません。
そして主人公の自宅での練習シーン。
新しいマジックの練習にとりかかった。
おいジャグリングはぁ!
最近は、マジックとパントマイムに加えて<コンタクト・ジャグリング>と呼ばれる芸を披露し始めた。
なるほど早合点で取り乱してしまい失礼いたしました。ジャグリングはサブ演目でやっている設定なんですね。そしてトスジャグリングではないのですね。
待て待て待てそれじゃあ表紙で5ボールシャワーやってるやつ誰だよ?
ちなみに以降もトスジャグリングの描写はありませんでした。
まあそこは、装丁の方との認識のすれ違いがあったのかなと思うほかありません。
最初は、子供のおもちゃであるスーパーボールだったそれが、直径十センチもあるガラス玉三つになり、
落ち着け。まず一つずつ情報を整理していこう。
まず、「三つ」と言ってるので主人公が複数の道具を扱う「マルチコンタクトの人」であることがわかります。
掌の上で複数のボールを転がしていく「パームロール」という技が基本の動きとしてあるのですが
ゴム素材のスーパーボールでパームロールやったらボール同士の摩擦が大きすぎてつっかえまくるのでは?
という疑問が一点。(あと、落としたときに跳ね回って回収が大変そう)
そして、あの「ガラス玉」に見える透明の玉はガラス製ではなくアクリル樹脂製です。
ボールが一つのところに静止しているように見せる技を「アイソレーション」と呼びますが、
あれは技の性質上、ボールの表面に傷がついてしまうと「静止感」がなくなってしまいます。
だから傷のつきやすいガラス玉は使わないのです。
コイツ...モグリか?
という懸念が一点。
パームロールとかボディロール主体のパフォーマンスであればそんなに気にしないのかもしれませんが
この主人公パントマイムやってるし絶対アイソレーションも挟んでると思います。
あえてガラス玉でパフォーマンスしてハイリスクノーリターンを楽しむ人も中にはいるのでしょうか。
タイトル、変えません?
何でしょう、タイトルに「ジャグリング」と入れている割に
ジャグリングへの興味というか、愛が感じられない。
取材とかしないタイプの作家さんなのでしょうか。
僕が知らないだけでこんな芸人さんもいる、ということなのかもしれません。
主人公が「アポロン」という芸名でパフォーマンスをしていて、
実はアポロンは芸術の神である一方で人間に医術を教えた神でもあり
主人公の経歴とかかっているという設定があって、そこは面白いなと思いました。
主人公が運命に翻弄される様を「狂詩曲(ラプソディ)」に例えるのもお洒落です。
『アポロン・ラプソディ』
個人的にはこっちのほうがしっくりきます。
そんなこともあるさ
第一弾に比べて、第二弾はけっこう辛口になってしまいました。
ただ、出版業界の人には「ジャグリング」という言葉に敏感に反応する輩が
一定数いることは覚えておいてほしいな、と思った一冊でした。
(実は読んだ順は「空より高く」よりこちらのほうが先。この読書体験があっただけに「空より高く」の丁寧な描写は嬉しかった...)
キーワード検索で購入するとそんなこともあります。
怖いもの見たさで読んでみるのも一興。
ではまた!