どうも、ゴ~チョです。
大学のジャグリングサークルでは、外部団体から出演依頼を受けて無償または有償でジャグリングを披露する活動をしているところがあります。地域やサークルの成立背景によって呼称が変わるようですが、僕のいたサークルではその活動を「依頼」と呼んでいました(奇術研由来のところでは「営業」と呼んだりもするようです)。依頼元は、近所の幼稚園、保育園、小学校、子ども会、高齢者施設、商店街などさまざまです。クリスマスの近い今の時期など忙しかった記憶があります。
その「依頼」でときどき困ってしまうのが、「ジャグリングの体験講座(ワークショップ)をやってほしい」というリクエストです。これから、「何が困ってしまうのか」と、「それを解消するために僕が最近やっていること」を書いていきます。
未経験者向けのジャグリングワークショップ
いきなりカスケードの練習では間がもたん。。。
ボールのトスジャグリングの基本といえば、カスケード。今すでにジャグリングができる皆さんも、はじめは3個のカスケードから練習したのではないかと思います。
かといって、せいぜい30分~1時間そこらのワークショップ内で、いきなりカスケードの練習からさせても、ワークショップ参加者が達成感を得られるレベルまで上達することはごく稀です(たまに、未経験の状態から30分程度でカスケード20キャッチ超えを達成する勘のいい人がいたりして驚きますが……)。
カスケードの練習、けっこう単調なので。。。
特に小学校低学年までの子ども達の場合、達成感が得られないうちに途中で飽きてしまい、手元のボールでキャッチボールやドッジボールを始めてしまったりして収拾がつかなくなることも。そうなると、ショーの依頼よりも神経と体力を使います。
まず、ボールをいろいろ動かす楽しさから
思うに、おそらくワークショップをリクエストした依頼主さんが真に望んでいるのは「参加者にカスケードを覚えさせること」ではなく、「身体を動かしてジャグリングの楽しさの一端を体感させること」でしょう。となると、いきなり3ボールカスケードは少しハードルが高い。
ボール1個や2個でも「ジャグリングっぽい動き」、「ジャグリングの導入になる動き」は色々体験してもらうことができるのではないか……?
カスケードよりも簡単な動きで、こまめに達成感を得ながらジャグリングの導入を楽しんでもらうほうが、参加者も気分よく帰れますし、講師も間が保たないと悩むことなく、お互いにとって利益がありそうです。そう思い、技として未だ名前も持たない動きをいろいろ集めてみました。個人的に「未技(ミギー、みわざ)」や「ジャぐち(ジャグリングの入口の略)」と呼んでいます)。
言葉の説明だけでイメージしづらいものもありますので、後日動画や図解を添付することにします(アドベント当日に間に合いませんでしたすみません)。
ジャグリングのいりぐち、縮めて「ジャぐち」
※各番号はそれぞれ独立した動きで、技全体の流れや順番を示すものではありません。
ボール1個の動き
① 1個のボールを上に投げて、投げたのと同じ手でキャッチ
② 1個のボールを上に投げて、投げたのと逆の手でキャッチ
③ 1個のボールを上に投げて、投げてる間に拍手を一回してから逆の手でキャッチ
④ ③の拍手を足の下や身体の後ろなどいろいろなところで
⑤ 1個のボールを上に投げて、腕の下、足の間や身体の後ろでキャッチ
※小学校低学年までの子だと、なかには①さえ危うい子もいますが、何回かするうちにできるようになります(学校の体育でもあんまりしない動きだものな……)。
ボール2個の動き
※実はボール1個の①~③を経験させておくと、2個のお手玉が全くできなかった子でも割とすんなりできるようになります。③の拍手を「ボールの手渡し」に変えるだけです。
⑦ ⑥の手渡しを足の下や身体の後ろ、首の後ろなどいろいろなところで
※参加者が混乱していたら、ボールを一個に減らして④をさせてから再挑戦させてみると、動きを理解してもらえます。
⑧ ⑥の合間に⑤をはさむ
※その瞬間だけ手渡しをせずに、上に投げる方(サイトスワップ3の方)をいろいろな場所でセルフキャッチ(なので厳密にはサイトスワップ"3"ではなくなりますが)。
⑨ どっちも上に
※これは左右の投げのテンポや軌道、腕の状態などで以下6つに分けています
A.平行アシンクロ(サイトスワップ"4400"?)
B.平行シンクロ
C.平行シンクロ:腕平行⇒腕クロス
D.平行シンクロ:腕クロス⇒腕平行
E.クロスシンクロ
F.クロスアシンクロ(サイトスワップ"330")
⑩ L字(ボックスの動きの2個版)
⑪ 以上の動きを左右逆にしてやってみる
運用例
これらのメニューを僕が実際にワークショップで使うときは、まず参加者にお手玉(⑥の動き)の経験を聞いて(また、実際にさせてみて)出来具合で、どの動きから紹介するかを場合分けしています。
8割方の参加者が⑥をすんなりできるようであれば、⑦以降を順に紹介していき、⑥ができない参加者には①~③をやってもらった後で⑥に再挑戦してもらいます。ほとんどの参加者がお手玉も未経験である場合は、ボール1個のメニューから初めて、まずボールになじんでもらいます。
未経験者対象のワークショップでは滅多にありませんが、全員が⑪まですんなりできてしまう、あるいは3人以下のごく少数のワークショップで参加者が「3個を覚えたい」という目的意識をしっかりもっている場合は、⑨から始めてカスケードの練習法の紹介につなげてもいいかもしれません。
上記リストと完全には対応していませんが、こちらのInstagramアカウントで「ジャぐち」の技動画が投稿されています。
また、Gideon Elson さんも、Instagramアカウントで2個の面白いパターンを紹介されています。
公文式や四谷学院と同じ考えかもしれない
新しい技術を習得するときは、それに類似した簡単な動き(=「アナロゴン」と呼ぶらしいです)から身につけていくとよいと聞きます。
また、公文式の「スモールステップ」や四谷学院の「55段階」など、学習業界では細かくステップ分けすることがメゲさせず無理なく成長させる方法として一定の効果を発揮しているようです。
KUMONの教材のひみつ | KUMONの原点 | 公文教育研究会
以前にジャグリング検定を紹介する記事を書いたときに、ジャグリング習得の道を山登りに例えましたが、
また山登りで例えるなら、「いきなりロッククライミングせずに、まずはハイキングコースから始めていきましょ」ということです。皆様も、もし初心者向けワークショップを頼まれる機会がありましたら是非お試しください。
参考動画
ここまで偉そうに語りましたが、ジャぐちの構想はまだまだ途上も途上です。上に紹介した以外にもカスケード以前の初心者ができる「サマになる動き」はたくさんあると思います。おすすめムーブがありましたら教えてください。
最後に、「ジャぐち」を考えるうえで参考にさせていただいた動画をご紹介します。
●KOMEIさんのEasy Juggling Lesson
5~6本ほど続くシリーズもの。すでに3個ができる人が見ても、動きの幅を広げるヒントが詰まっています。
●もりやすバンバンビガロさんの「おてだまじゅぎょう」
童謡にのせた動きは、もはやルーチン。小さい子どもでもついてこられるようにという配慮が随所にうかがえます。
ではまた。