日々是ジャグリング

ジャグリングを通じて感じたこと考えたことを綴っていきます。

三世代のリアルな人物描写はジャグリングのおかげ? ― 青羽 悠『星に願いを、そして手を。』

どうも、ゴ~チョです。
PS2の発売がもう17年も前であることに戦慄を隠せません。

PlayStation 2 (SCPH-50000) 【メーカー生産終了】

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今回はそんなPS2と同い年の作家さんの作品を紹介します。

青羽 悠『星に願いを、そして手を。』

星に願いを、そして手を。

星に願いを、そして手を。

 

 

概要はコチラ。

 まだ、何も終わっていない。
 中学三年の夏休み。宿題が終わっていない祐人は、薫、とうに終えた理奈と春樹と共に、プラネタリウムに併設された図書館で、勉強会に参加していた。そんな彼等を館長はにこやかに迎え入れ、宇宙の話を楽しそうに語ってくれた。いつでも夢にあふれ、四人でいれば最強だと信じて疑わなかった。
 時が経ち、大人になるまでは──。
 理奈と共に大学で宇宙を研究するはずだった祐人は夢を諦め、文系大学を卒業後、故郷に帰り、公務員となった。そんな祐人を許せない理奈は、夢にしがみつくように大学院に進み、迷いながらも宇宙の研究を続けている。薫はプラネタリウムのお手伝い、春樹は実家の家電店を継いだ。それぞれ別の道を歩いている。
 高校卒業以来、会うことがなかった彼等が再び顔を合わせるのは、急逝した館長のお通夜だった。全員、館長の死がきっかけで閉館になる図書館の手伝いを引き受け、また集まることが多くなるのだった。館長が残した英文と数式のファイルの謎や、喧嘩別れをしてしまった祐人と理奈のぎこちない関係、館長の孫・直哉に託された暗号など、最強だった四人が導く答えとは──。

 

集英社HPより引用)

集英社 出版四賞

 

ペンも握るがクラブも握る

青羽 悠さん。
16歳にして歴代最年少で小説すばる新人賞を受賞した現役高校生
ということで有名ですが、ジャグリング界隈(特に中部地方では
また別の衝撃が走ったことでしょう。
彼もまた、ジャグラーなのです。
しかもその辺のYoutuberが嗜み程度に3ボールカスケードを覚えました
みたいなレベルではなく、5本のクラブをほいほい操れるレベル。
昨年の話ですが、愛知で催されたジャグリング公演にも
「粕谷」名義で出演していました。

IaKOT - 第3回公演出演者紹介


ルーティン動画がVimeoにあがっています。

vimeo.com

三世代のリアルな人物描写はジャグリングのおかげ?

作中では館長たち老年世代、祐人たち若者世代、直哉たち高校生世代の
それぞれの「夢」や「夢に対する姿勢」が描かれます。
新人賞の選考作家たちには辛辣な評価ももらったようですが
高校生で三世代の人物描写ができるのはなかなかすごいと思います。
デビュー作で三世代を描くというのも珍しいようです。
小説すばる新人賞の先輩でもある朝井リョウも対談時に褒めています。

 

朝井 それにしても大人の世界の文化が自然に書けるのが不思議です。小説の中に「差し入れ」を持って行くシーンがありますが、僕、高校生のときに差し入れなんて文化、たぶん知らなかった(笑)。

青羽 うーん、周りに大人が多かったのかもしれません。高校の部活の関係で、大学生や社会人と関わる機会が多いんです。それから自分で言うのもなんですが、自己分析すると、気を遣う人間なのかなあと。

 

(ほんのひきだしHPより引用)

【対談】朝井リョウ×青羽悠「何かになりたい」と欲して書いた、初めての小説(第29回小説すばる新人賞対談) | ほんのひきだし

 

「高校の部活の関係で」とぼやかしていますが、
ジャグリングのことですねわかります。

ご本人もインタビューにて答えていますが
館長たち、祐人たち、直哉たちの三世代のリアルな人物描写は
ジャグリングのおかげで出会えた大人たちあってのことだったのかもしれません。
もちろん機会がどうあれ、それを逃さず作品に活かせる観察眼の賜物であることに
変わりはありませんが。

メジャーな部活動と比べて大学生や社会人と接する機会が多いのは
ジャグリングのちょっとした強みといえるのではないでしょうか。

そう考えると、作中にジャグリングは登場しないものの
ジャグラーとしてはちょっと嬉しくなりますね。

ジャグラーはついつい期待してしまう

まだまだ可能性ばかりの高校生。
いくら才能があるといってもどんな道を選ぶかは彼の自由です。
でも、ジャグラーはついつい期待してしまうのです。
いつの日か、
東野先生が趣味のスノボについてエッセイを書いたように
ジャグリングについてのエッセイとか...

ちゃれんじ? (角川文庫)

ちゃれんじ? (角川文庫)

 

 

重松先生が書いたような
ジャグリングをする高校生のお話とか...

juggling-gohcho.hateblo.jp

 

あと、個人的には薫や春樹のことをもう少し掘り下げた
スピンオフ作品なんかも期待しています。

...気長に待ちましょう。

ではまた!

 

星に願いを、そして手を。

星に願いを、そして手を。