こんにちは、ゴ~チョです。
まずはこの動画の冒頭15秒をご覧ください。(15秒以降は後で存分にお楽しみください)
このように、技の成功時等にジャグラーが道具を投げ捨てる動作について、Twitterにて是非を問うつぶやきをいくつか見つけました。
※Eric Bates氏のこの動画が直接言及されたわけではありません。あくまで一例として紹介しました。
ちなみに僕自身は基本的に投げ捨て反対派です。
しかし、それで切り捨ててしまうのももったいないので、
今回は、ジャグラーがなぜ道具を投げ捨てたくなるのかを考えながら、僕の意見を書きたいと思います。
道具を投げ捨てる理由について
僕が考えつく「投げ捨て」の理由は以下の3つです。
- 技が成功したことに対する嬉しさの表現
- きちんと回収する余裕がない
- ルーチンや動画の演出のひとつ
1.に関しては僕は別に良いと思っています。
動画として投稿されるときにはその前後は切り取られてしまうのでわかりませんが
その技が成功するまでに何テイクも重ねた末の成功であれば、
成功の喜びや動画撮影を終えられる解放感や達成感から手元の道具を放り投げてしまうことはあると思います。
海外の映画やドラマで学生が卒業式の後で一斉に角帽を放り投げるシーンがあったりしますが、その感覚に近いものだと思っています。(例えに出したこの行動についても、最近では「落ちてきたときに目ぇ突いてアブねえからヤメロ!」という意見があるとかないとか)
2.についても、成功率の低い技に関しては技の成功後もジャグリングを続ける技量がまだないため、そのまま回収をあきらめて落ちるに任せるというのは多々あります。
個人的にはきれいに回収できる段階まで完成度を高めてから動画投稿を、とは思うのですが、「動画のクオリティはともかく技の初成功をリアルタイムにネットで共有したい」という気持ちもわからないではありません。(これはSNS動画投稿ネイティブ世代との感覚の差なのかもしれません)
問題は3.です。1.と2.との決定的な違いは「投げ捨てる」という動作を
衝動や不可抗力からではなく明確に意図して行っているか否かです。
演出のひとつとして意図的に道具を投げ捨てることについてもう少し掘り下げて書いていきます。
道具を投げ捨てる演出について
なぜ道具を投げ捨てる演出が多数出てくるかというと、以前にも実践している人がいるからではないでしょうか。
「投げ捨て」の演出の意図としてはおよそ下記3つに大別されるかと思います。
- 期待⇒裏切りのコメディ要素を盛り込むため
- BGMとして使用した曲との親和性を高めるため
- 演技のピリオドとして利用するため
他にもあるかもしれませんがこの3つをさらに詳しく考えていきます。
期待⇒裏切りのコメディ要素を盛り込むため
これは技の成功時やルーチンの最後ではなく、ルーチンの途中に挟まれることが多いです。
JJF2013のこーのCLUBがこの演出を利用しています。
期待⇒裏切りのコメディ要素を盛り込んだ例(JJF2013 こーのCLUB)
6:05~6:10あたり、8本のクラブで技を始めるのかと思いきや、クラブを後ろに放り出してヘッドバンギング。
見事に期待が裏切られます。動作としてはBGM曲のPVのパロディでもあり、冒頭に布石となる動作を置いた上での「天丼」*1が成立していて、よく考えられた演出です。
BGMとして使用した曲との親和性を高めるため
こちらの例はJJF2008の青木康明さんがわかりやすいと思います。
曲の終盤の特徴的な音に合わせた動作と、道具を持たない状態での決めポーズを成立させるために道具を投げ捨てています。
BGMとして使用した曲との親和性を高めた例(JJF2008 青木康明)
曲との親和性によって、投げ捨てる動作に一種の爽快感すら覚えます。
演技のピリオドとして利用するため
ジャグラーが投げ捨ての演出を入れる理由の大半がこれにあたると思います。
今までジャグラーの支配下で活き活きと動いていた道具たちが、ジャグラーの手を離れて地面に落ちる…
ジャグラーの手の中にはもう何もなく、これ以上演技が続かないことがわかりやすく示されます。
うまく決まれば非常に綺麗にルーチンがまとまります。
この演出がうまく成立していると思われるのが、やないさんとJINさんの下記のルーチンです。
道具の落下をピリオドとして利用した例(JJF2013 やないさん)
道具の落下をピリオドとして利用した例(JSJF2014 JINさん)
二人とも、「投げ捨てた」というよりも「道具の操作をやめた」というほうが正確かもしれません。
ここで考えておきたいのは、演技のピリオドを演出したいのであれば、わざわざ積極的に「投げ」捨てなくても「操作をやめる」意図さえ伝えられれば十分ではないかということです。
むしろ直前に入れた「投げ」の動作が「操作をやめる」意図のノイズになりうることを恐れるべきです。
投げ捨てと道具との相性
扱う道具によって、投げ捨てが演出として成立しうるかどうか変わってくるということもあるかもしれません。
個人的感覚としては
トス系とは相性が良く、マニピュレーション系とは相性が悪い
という印象です。
もともと「投げ」が操作の基本であるトス系の道具であれば、投げ捨ては「投げ」の途中で操作をやめたことを示しやすいのに対し、マニピュレーション系の道具は「投げ」そのものが特殊な動作として捉えられやすく、ジャグラーが意図した以上に道具を投げ捨てた動作が強調され、不必要に乱暴・粗野な印象を観る人に与えてしまうからではないかと思います。
舞台上で投げ捨てる恐ろしさ
それでも俺は投げ捨てる!
という強い意志をお持ちの方にひとつだけ気を付けていただきたいのが、パフォーマンスを行う場所です。
音響や照明もそろっているけっこうしっかりした舞台上でパフォーマンスを行う場合は、舞台の裏や袖に高額な精密機器が置かれていたりします。後ろに吊るされた幕についてもデリケートなものであり、修繕費も馬鹿にならないものです。
もしも投げ捨てた道具が舞台袖や舞台裏の機材を破壊したら…
舞台を借りてパフォーマンスする場合はそのことについても十分考慮する必要があります。
以上から、
投げ捨てるべき理由がない場合は投げ捨てない、というのが僕の意見です。
ではまた!
*1:同じ振りなりボケなりを2回以上繰り返すことを表すお笑い用語