どうも、ゴ~チョです。連休中は外の空気をのびのびと吸いながらジャグリング仲間とにぎやかに練習......というわけにはいきづらい状況、皆さまいかがお過ごしでしょうか。在宅ワークへの移行もすすみ、どうしても部屋にこもりがちになってしまいますね。
そこで今回は、部屋での練習に適したジャグリング道具と適さないジャグリング道具を独断と偏見で選んでみたいと思います。評価は主に静音性・省スペース性・家具破壊リスクの3点を考慮しています。
独断と偏見で選ぶ「部屋練」道具ベスト5
Best-5:けん玉~日本の伝統的室内遊び~
- 剣と玉が糸でつながっているから、失敗しても落とさない
- 必要なスペースも小さい
ただし、これらはボールと同じく、練習する技によりますね。「宇宙遊泳」や「円月殺法」など、剣からも玉からも手を放す技を練習し始めたら、しばらくは落下音必至、スペースも広めに必要でしょう。そしてけん玉には剣と玉が糸でつながっていない「糸なしけん玉」なるジャンルが存在するため、そのジャンルの練習の場合は落下音、します。順位はボールと迷いましたが、"落下のリスクのない技がある"点を踏まえて、けん玉をひとつ上にしました。
Best-4:ハット~家具に優しいフェルト製~
ジャグリング道具の中では珍しく、布製のハット。落としても床や壁を傷つけることなく、あまり大きな音もしません。マルチハットをぶん投げはじめなければ天井の高さもあまり気にする必要がありません。アイソレーション系の道具を除外するのであればもっと上位にランクインしてもおかしくない道具です(にも関わらず、初稿の段階では完全に存在を失念していましたごめんなさい)。落下のリスクがある道具の中ではかなり部屋練適性の高い道具であるといえます(ハットの場合は逆に屋外練適性が低いという点は否めませんが)。
Best-3:エイトリング~畳一枚あればいい、いや鏡も欲しい~
- 落下のリスク(ほぼ)なし ※投げちゃう人もいるので
- 操作中の音(ほぼ)なし ※2枚重ねて持ってカシャカシャする技もあるので
基本的には音とは無縁の道具。投げないので天井も気にしなくていい。部屋で練習するにはかなり理想的な道具といえるでしょう。ただ習得までの過程が地道ゆえ、部屋で一人黙々と練習し続けるにはそれなりの忍耐が必要かもしれません。
Best-2:マグネティックバトン~さらに静音かつ省スペース~
私個人の認識としては、"マグネティックバトンでやるようなアイソレーションの技術をより舞台映えするように、視認面積を少しでも増やそうと工夫を凝らした末の産物"がエイトリングだと思っています(マグネティックバトンでなければできない表現があるのも事実です)。舞台上の視認面積でエイトリングに劣るということは、裏を返せばエイトリングよりも省スペースで練習可能ということです。ただ習得までの過程が地道ゆえ、部屋で一人黙々と以下略
Best-1:コンタクトボール~押し入れでも練習できちゃう~
静音性・省スペース性を総合的に考えて、1位はコンタクトボールとさせていただきました。落下のリスクはそれなりにあり、静音性ではエイトリングやマグネティックバトンに一歩及ばずなところがありますが、その省スペース性は群を抜いています。個室トイレや電話ボックス、押し入れでも練習可能です(そんなところでしたくはありませんが)。
続いて、ワースト5
Worst-5:ポイ~天井照明デストロイヤー~
基本的には落下のリスクは低く、落下音もそれほどしない道具ですが、振り回すゆえにそれなりのスペースが必要です。天井や周囲の家具に遠慮して、妙に縮こまったクセがついても困ります。
ちなみに私は、部屋で試しにおそるおそるウィーブをやってみて「なんや意外と余裕あるやん」と思い、調子にのってウィンドミルをしかけたところで吊り照明に直撃。舞い散る埃の中で己の愚かさを知る......という経験をしたことがあります。
Worst-4:シェーカーカップ~鳴りやまぬ自己主張~
最近きぞは工房からリリースされた「きぞはい」が静音性と操作性に優れていると聞き、気になっています。
従来品に関して言えば、基本的には技が成功してもカップの重なる音がうるさく、失敗すればさらにうるさい道具です。
プラスチック製カップが発売されて久しいですが、私がジャグリングを始めたばかりの頃は金属製のものしかなく、練習中はかなり耳に来ました。
Worst-3:ディアボロ~触れるもの皆傷つけて~
技がうまくいってるうちはいいんです。ひとたびディアボロが制御下から外れると、それはもはや高速で回転する凶器。回転のおもむくまま部屋中を駆け巡り、机の上の小物を弾き飛ばし、タンスをえぐり、テレビの液晶画面にヒビを入れます。
Worst-2:デビルスティック~悪魔の名を冠する鈍器~
「何の変哲もないこちらの棒を、手に持った2本の棒で叩いていくとあら不思議、棒が宙に浮かんでしまいます」
大道芸で聞きそうな口上ですね。そうです、技の継続のためには基本的にセンタースティックを叩き続けないといけない。当然その間、打撃音は恒常的に鳴り続けます(叩かない技もあります)。そして、70cm近くある木の棒をクルクル回しているわけですから、それのコントロールを失ったらどうなるかは......推して知るべしです。さすがは「悪魔」の名を冠する棒です。
Worst-1:シガーボックス~その身に曲線を持たぬ全身凶器~
昔JJFのワークショップで鈴木仁さんが、"シガーボックスは数あるジャグリング道具の中でもその形状に円の要素を持たない、全て直線で構成された唯一ともいえる道具です。シガーボックスならではの技を考えようとする場合、その特徴を踏まえておいたほうがいいでしょう"といった主旨のことをおっしゃっていました。ちょうどその頃に自分でもぼんやり考えていたことを綺麗に言語化してもらえた良いワークショップでした。
唯一無二の特徴は大きな強みにもなりえますが、弱みとも表裏一体です。特に部屋での練習では箱一つにつき8つ、箱三つならば計24個の「カド」が牙をむきます。おそらく日本の皆様は部屋の中では基本的に靴を履いてらっしゃらないでしょうから、その無防備な足を狙いすまして箱のカドが降ってきます。間一髪、足への被害はまぬがれても、壁、床、家具の損傷リスクが高いのもまた事実。
そしてデビルスティックと同様、技と箱同士の衝突音が切っても切れない関係であるという悲しき性(スイング系やマニピュレーション系など、「挟む」を介しない技もあります)。
ハマればハマるほど気にしなくなってくる(要は工夫次第)
つらつらと書きましたが、上記はあくまで個人の所感であり一つの傾向です。ジャグリングの技術の発展多様化めざましい現在、「部屋でまったく練習できない道具」はほぼないと個人的には思っています。例えばシガーボックスに関して、音の主な発生源である「挟む」を介さない技や、落下のリスクの少ない技を練習することはできます。部屋での練習に向いていようがなかろうが、その道具にハマってしまった人は、どうにか練習できないかと工夫を凝らしがちです。
前シーズンの朝ドラ『スカーレット』では西川貴教さん扮するジョージ富士川が
「自由は不自由やで~」
と言っていましたが、
数学も教える世界的パフォーマーの池田洋介さんは
「ある種の不自由の中から、自由は生まれる」
とJJFのワークショップにておっしゃっていました。
部屋という制限された空間のなかでもできる技や動きを探すことで、パフォーマンスの幅はさらに広がるかもしれません。
最後に、Wes Pedenによる「うちでジャグろう」の極端な例をご紹介して結びといたしましょう。
ではまた!