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日々是ジャグリング

ジャグリングを通じて感じたこと考えたことを綴っていきます。

とりあえず曲選びから ― ジャグリング・ルーチンの作り方まとめ(1)

どうも、ゴ~チョです。

趣味がジャグリングであることを公言している人は、遅かれ早かれ友人知人からこういった頼まれごとを受けます。

「○○(何かしらのイベント)のときにやって見せてよ」

そんなとき、ただやりたい技を気の向くままに練習していた彼or彼女は茫然とするのです。

「どうやって見せようか...」

だらだらと練習風景を見てもらうわけにはいかないので、漫才師のネタのようにマクラ・本筋・サゲのような、いわばパッケージ化された構成を考えなければなりません。今回はそんな、人への見せ方の話をします。

ルーチンを作ろう

ルーチンとは

「ルーチン/ルーティン」は、ラグビーの五郎丸選手のおかげで一般にもある程度耳なじみのある言葉になったのではないかと思います。ただ、五郎丸選手の言う「ルーチン」とジャグラーの言う「ルーチン」では使われ方が異なるため、改めて解説を入れます。

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五郎丸選手の「ルーチン」は自分のリズムや集中を整えるための一種の儀式であり、人に見せるためにやっているわけではありません。(実際、試合以外の場面で「ルーチン」をリクエストされたときに彼はやんわり断っていました。トップアスリートは違う...)

ジャグラーの「ルーチン」は逆に、見てもらってなんぼの代物です。
ジャグリング界隈で言われる「ルーチン」とは、“誰かに見せることを想定して事前に構成された一連の技や動きの流れ”のことを指します。多くの場合は音楽をかけて、その音楽に合わせて動きます。ダンスやフィギュアスケートの「プログラム」という言葉に近いかもしれません。似たような扱いで「作品」という言葉を使う人もいます。

なぜルーチンを作るのか

冒頭にも少し書きましたが、「ジャグリング見せて」と言ってきた人が延々と練習風景を見せられて満足するケースというのはまれだと思います。(一部のトップジャグラーであれば、練習しているだけで自然とギャラリーが生じてショウになっていたりしますが)

エンターテインメントとしての完成度を求めるとき、「ルーチン」という枠組みを使うとスマートにジャグリングを見せることができます。

ルーチンの作り方

ルーチンを作ろうと言われても、初めての場合は何をしていいかわからないと思います。しかしそこは先輩たちも通った道。しかも、そのうちの優しい先輩は「ルーチンの作り方」についてたくさんの記録を残してくれています。

以下、参考になるサイトを紹介します。

ameblo.jp

piyochan0blossom0.blog.fc2.com

note.mu

note.mu

note.mu

そして、ある程度共通している流れとして以下のようなものが挙げられます。

  1. 曲を選ぼう
  2. 曲を分析しよう
  3. 自分ができること、したいことを整理しよう
  4. 実際に動いてみよう
  5. 人に見せて意見を聞こう

曲を選ぼう

ある程度パフォーマンスを見せることに慣れてくると、“あえて音楽を使わない”という選択肢が出てきたりするのですが、初めのうちは使えるものは使っておきましょう。音楽をかけることで観客は注意を向けてくれますし、あなたが自分のジャグリングにおいて伝えたい雰囲気やイメージのようなものを補足してくれます。

曲を選ぶ目安

曲を選ぶときの目安は、だいたい以下のことがよく言われます。

  1. 歌詞なしのもの
  2. 外国語なら歌詞つきでもセーフ
  3. 長さは2分~5分くらい
  4. 拍子のとりやすいもの
  5. 曲の盛り上がり部分がわかりやすいもの
  6. 自分が聴いていて楽しいもの

1の理由は、観客が歌詞の方を追いかけてしまってジャグリングの内容に集中できないからだとよく言われます。2については、(日本人の観客にとって)外国語はBGMのようなものだからです。「あえて歌詞つきの曲で、歌詞の内容にリンクしたルーチンをする」という選択肢もありますが、初めての人にはあまりお薦めしません。3については音楽の編集技術があれば元曲が何分でも構いません。4.音楽を聴きながらリズムよくジャグリングをするわけですから拍子は取りやすいに越したことはありません。5.曲の盛り上がりがわかりやすいと、その部分に合わせて難易度の高い技をもってくるなどルーチンにメリハリをつけやすくなります。6.そして、曲選び、曲の分析、練習と、本番に至るまでに何度となく聴くことになる音楽ですから、好きだと思える曲を選びましょう。(最後の項目が実は一番重要かも...)

曲の探し方

曲の探し方ですが、僕がよくやる方法は以下の4つです。

  • Youtubeで検索しまくる
  • レンタルCD屋で試聴しまくる
  • 好きな映画やドラマのサントラを入手
  • 「いい感じの店」でShazamをON

例えばYoutubeの検索窓に「曲 ○○(曲の雰囲気)」と入力して検索すると、そこそこヒットします。誰かがご丁寧にプレイリストを作ってくれている場合もあります。もともと好きな曲から関連リンクをたどって似た雰囲気の曲を探していくやり方もあります。求める曲の音楽のジャンルがわかっているなら話は早いかもしれません。レンタルCD屋に行ってそのジャンルの一画を片端から試聴していきましょう。好きな映画やドラマがあれば、その作品のサントラ(サウンドトラック)を借りるのも一つの手です。“映像を邪魔せずに引き立てるために作られた音楽”なので、ルーチン用の曲としてはけっこう相性が良かったりします。

曲探しに煮詰まったら、街をぶらぶらするのもいいでしょう。気まぐれに服屋に入ってみる。素敵な喫茶店でお茶してみる。そんなとき店内にかかっている曲に、ふと耳を傾けてみてくださいルーチン曲との運命の出会いが待っているかもしれません。店員さんに曲名を聞くのも手ですが、現代には「Shazam」を筆頭に便利な音楽同定アプリがあります。(Shazamでもわからないときは素直に店員さんに聞きましょう)

play.google.com

Shazam - Discover music, artists, videos & lyrics

Shazam - Discover music, artists, videos & lyrics

  • Shazam Entertainment Ltd.
  • Music
  • Free

 

次は「曲を分析しよう」

運命の曲を見つけたら、次はその曲を分析します。
次回はこの続き、「曲を分析しよう」について書いていきます。
できるだけ日が空かないよう努力します。


ではまた!

あなたは全部知ってる? ― ジャグリングサークル・アイコンギャラリー

どうも、ゴ~チョです。
私が大学に入学した当初はジャグリングサークルも数が知れていたのですが、ここ数年で爆発的に団体の数が増えたように思います。
twitterのアイコンも団体によって個性が出ていて面白いなと思ったので、この場でいくつか紹介しようと思います。

アイコンにも表れるサークルの個性

今回はtwitterアカウントが存在する団体のうち、写真ではない独自のアイコンを使用している団体を対象としてピックアップしました。独断と偏見によるグループ分けに沿って見ていきましょう。

動物

アイコンに動物のシルエットや動物をかたどったキャラクターを使用しているグループです。
このグループは他のグループに比べて数が多いです。一部を紹介します。

早稲田大学ジャグリングサークルinfinity

動物系のアイコンの中でもinfinityのアイコンは秀逸ですね。図案化されたミミズクの体にサークル名を示す「∞」の記号と交差した2本のクラブが隠れています。

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筑波学院大学大道芸ジャグリングサークルFarce

猫の顔はビーンバッグでしょうか。こんな柄の猫、確かにいそうです。

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九州大学ジャグリング部9JUC

アイコンの鳥は初めペンギンかと思ったのですがよく見ると頭に飾り羽があるので孔雀かな?と思い至ったところでシャレに気付きました。

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千葉大学ジャグリングチームPossum

アイコンはウサギかな?シルエットのみのすっきりしたデザインですね。

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同志社大学マジック&ジャグリングサークルHocus-Pocus

この鳥はサークルのマスコットではなくTweetBirdですね。TweetBirdにマジックとジャグリングをさせて、色は同志社大のテーマカラーで統一。必要な情報がスマートに込められたアイコンだと思います。

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ジャグる人

これもけっこうな割合で多かったグループです。

法政大パフォーマンスサークルすだま

素人ばなれしたクオリティの絵ですね。道化師帽をかぶった女の子です。3ボールカスケードと見せかけて実は右手にもう1個持っているので4ボールファウンテンでしょうか。

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福島大学ジャグリングサークルJUGLUBE(じゃぐるべ)

こちらもジャグリングをする女の子。ただしこちらはディアボロです。正面ではなく上からのアングルというのが斬新ですね。ディアボロの躍動感がよく伝わります。

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高知工科大学ジャグリング部

白黒の図案でジャグリングする人。アイコンとしてのシンプルさや美しさを追い求めると必然的に軌道はこうなります。

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山形大学ジャグリングサークルJuggle With Nekkey

顔と手だけの図案。表情がややアメコミチックなのが味があっていいですね。

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電気通信大学ジャグリングサークルPassage

上4つとは打って変わって複数人です。よく見ると下の人が道具で上の人を支えています。クラブの人の右足が心配です。

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文字の図案化

このグループはおそらくロゴマークとしての使用を念頭に置いたデザインのものが多いです。センスを試されますが、ハマるとなかなかお洒落。

筑波大学ジャグリングサークルSheep

このグループの中では最も秀逸な図案化ではないかと思います。Sheepの文字が羊になっていて、しかもかわいい。連なる小文字のeがいい感じにモコモコ感を醸し出してます。

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前橋工科大学ジャグリング部GRIP

直角しか使わない潔さ。篆刻の印のような古風な味わいさえします。シンプルですが、個人的にはけっこう好きです。

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岡山県立大学奇術サークルMagicalMagica!

見れば見るほど味のある逸品。サークル名の前半後半の共通部分(Magica)はM一文字で省略し、残りのlと!も点対称風に配置。初めはそれだけかと思っていました。でも、エムとそれ以外の字の字体が異なるのがどうにも気になってよくよく見ていたら段々、赤いネクタイを締めたかぎしっぽの黒猫に見えてきました。すごい。作者にその意図はなかったとしても。

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弘前大学大道芸サークルMocha

顔ですね。人間は心理的にどうしても「眼」が気になるらしいので、人の顔とか目のあるアイコンにすると誘引力が出てきます。AとCの文字をうまく図案化してピエロメイク風に仕上げています。

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大阪大学ジャグリングサークルPatio

こちらも顔です。MochaさんはOの文字を鼻に使いましたが、Patioは顔の輪郭にOを使用しています。余ったPは頭に突き刺しちゃえ!という乱暴さ。(実はこのアイコン、むかし僕が作ったやつなんです...)

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シンプルイズベスト

余計な意匠など不要と言わんばかりのシンプルさ。でもそこに何かこだわりを感じます。

帝京大学ジャグリング部QOJ

なぜかもうこれだけでちゃんとしたロゴに見えます。文字の連なりが美しければロゴとして成り立つんですね。

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東京農工大学ジャグリングサークル@jug

同じようにシンプルなのですが、@jugさんのアイコンには素朴さと温かみを感じます。

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滋賀大学Juggnomics

清涼飲料水を彷彿とさせる爽やかさ。ポカリスエットが飲みたくなってきます。

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道具大集合

ジャグリングサークルであることがよくわかるデザインです。

信州大学ジャグリングサークルサイクロイド

エイトリングとけん玉があるのが渋いですね。黒背景に蛍光色がよく映えます。

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芝浦工業大学シャングリラ

グラデーションが綺麗ですね。滴の跡とポイのうねり具合がマッチしてていい感じです。

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関西学院大学ジャグリングサークルSPLASH

イルカがいるので上の動物グループでもよかったのですが、こちらに。パステル調の涼しげなアイコンです。

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神戸大学ジャグリングサークルJUG六

組み合わせちゃいました。ジャグリング道具の夢の合体。駆動部がヨーヨーであることに妙なリアルを感じます。

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道具一種類

思い切って道具を一種類に絞ってシンプルに。

東京大学ジャグリングサークルMalabaristas

遠目にみればビーンバッグ。しかし寄ってみると...ジャグリングの力強いキーワードが散りばめられています。

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東京農大大道芸サークルジャグアグリ

クラブ3本...と見せかけて左下は、根菜? 農大ならではの茶目っ気。

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日本大学工学部ジャグリング愛好会

ディアボロの紐で団体名を表現。シルエットのディアボロが、リボンの結び目のようにも見えてお洒落ですね。

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大阪芸術大学 芸大パフォーマンスドール

さすが芸大というべきか、デザインが整ってます。

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食べ物

団体名がそもそも食べ物由来というパターンが多いようです。写真アイコンだったので外してしまったのですが、京都大道芸俱楽部ジャグリングドーナツのアイコンは勿論ドーナツでした。

北九州市立大学ジャグリングサークルcroissant

クロワッサンです。二値の絵でこれだけ美味しそうなクロワッサンが描ける画力が羨ましい。

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青山学院大学Aux Cerisesジャグリング愛好会

「オスリーズ」と読みます。フランス語で「サクランボ」の意味らしいです。一つ勉強になりました。

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長崎大学ジャグリング部jackpot

これは、擬人化されたリンゴでしょうか?リンゴの由来は残念ながら調べきれませんでした。

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トランプ

トランプのモチーフは奇術部が母体の団体によく見られます。

鳥取大学奇術部

トランプの4種のスートにシルクハット。中世貴族の紋章みたいでかっこいいですね。

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九州工業大学工学部ジャグリング・マジックサークルJumble

スペードのジャックがクラブを持っています。マジックもジャグリングも扱うことがスマートに伝わる良いデザインだと思います。個人的にはスートはシャレを利かしてクラブであってほしかった。

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立命館大学マジック&ジャグリングサークルFLIPPERS

カード全体ではなく敢えて寄りで。立命館大のマジックサークルであることがよくわかります。

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ご当地名所

図案にご当地の名所を盛り込んだアイコン。どの県の団体かよくわかります。

神戸ジャグリングクラブmoai

中央の赤は神戸ポートタワーですね。設立当初の練習場所からはポートタワーがよく見えます。

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静岡大学大道芸サークルすぱ

アイコン中央にみえる山はおそらく富士山。些末なことですがなぜiだけ小文字なのか気になります。

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カルタとか作っても面白いかも

今回紹介したものはほんの一部ですが、凝ったものからシンプルなものまでそれぞれに味がありますね。各団体に所属する方々がそれぞれ自分の団体のアイコンに愛着を持っているといいなと思います。

 

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これだけ集まったらカードに一枚ずつアイコンを印刷してカルタとかやってみたくなりますね。(僕だけでしょうか...)

 

ではまた!

三世代のリアルな人物描写はジャグリングのおかげ? ― 青羽 悠『星に願いを、そして手を。』

どうも、ゴ~チョです。
PS2の発売がもう17年も前であることに戦慄を隠せません。

PlayStation 2 (SCPH-50000) 【メーカー生産終了】

PlayStation 2 (SCPH-50000) 【メーカー生産終了】

 

 

今回はそんなPS2と同い年の作家さんの作品を紹介します。

青羽 悠『星に願いを、そして手を。』

星に願いを、そして手を。

星に願いを、そして手を。

 

 

概要はコチラ。

 まだ、何も終わっていない。
 中学三年の夏休み。宿題が終わっていない祐人は、薫、とうに終えた理奈と春樹と共に、プラネタリウムに併設された図書館で、勉強会に参加していた。そんな彼等を館長はにこやかに迎え入れ、宇宙の話を楽しそうに語ってくれた。いつでも夢にあふれ、四人でいれば最強だと信じて疑わなかった。
 時が経ち、大人になるまでは──。
 理奈と共に大学で宇宙を研究するはずだった祐人は夢を諦め、文系大学を卒業後、故郷に帰り、公務員となった。そんな祐人を許せない理奈は、夢にしがみつくように大学院に進み、迷いながらも宇宙の研究を続けている。薫はプラネタリウムのお手伝い、春樹は実家の家電店を継いだ。それぞれ別の道を歩いている。
 高校卒業以来、会うことがなかった彼等が再び顔を合わせるのは、急逝した館長のお通夜だった。全員、館長の死がきっかけで閉館になる図書館の手伝いを引き受け、また集まることが多くなるのだった。館長が残した英文と数式のファイルの謎や、喧嘩別れをしてしまった祐人と理奈のぎこちない関係、館長の孫・直哉に託された暗号など、最強だった四人が導く答えとは──。

 

集英社HPより引用)

集英社 出版四賞

 

ペンも握るがクラブも握る

青羽 悠さん。
16歳にして歴代最年少で小説すばる新人賞を受賞した現役高校生
ということで有名ですが、ジャグリング界隈(特に中部地方では
また別の衝撃が走ったことでしょう。
彼もまた、ジャグラーなのです。
しかもその辺のYoutuberが嗜み程度に3ボールカスケードを覚えました
みたいなレベルではなく、5本のクラブをほいほい操れるレベル。
昨年の話ですが、愛知で催されたジャグリング公演にも
「粕谷」名義で出演していました。

IaKOT - 第3回公演出演者紹介


ルーティン動画がVimeoにあがっています。

vimeo.com

三世代のリアルな人物描写はジャグリングのおかげ?

作中では館長たち老年世代、祐人たち若者世代、直哉たち高校生世代の
それぞれの「夢」や「夢に対する姿勢」が描かれます。
新人賞の選考作家たちには辛辣な評価ももらったようですが
高校生で三世代の人物描写ができるのはなかなかすごいと思います。
デビュー作で三世代を描くというのも珍しいようです。
小説すばる新人賞の先輩でもある朝井リョウも対談時に褒めています。

 

朝井 それにしても大人の世界の文化が自然に書けるのが不思議です。小説の中に「差し入れ」を持って行くシーンがありますが、僕、高校生のときに差し入れなんて文化、たぶん知らなかった(笑)。

青羽 うーん、周りに大人が多かったのかもしれません。高校の部活の関係で、大学生や社会人と関わる機会が多いんです。それから自分で言うのもなんですが、自己分析すると、気を遣う人間なのかなあと。

 

(ほんのひきだしHPより引用)

【対談】朝井リョウ×青羽悠「何かになりたい」と欲して書いた、初めての小説(第29回小説すばる新人賞対談) | ほんのひきだし

 

「高校の部活の関係で」とぼやかしていますが、
ジャグリングのことですねわかります。

ご本人もインタビューにて答えていますが
館長たち、祐人たち、直哉たちの三世代のリアルな人物描写は
ジャグリングのおかげで出会えた大人たちあってのことだったのかもしれません。
もちろん機会がどうあれ、それを逃さず作品に活かせる観察眼の賜物であることに
変わりはありませんが。

メジャーな部活動と比べて大学生や社会人と接する機会が多いのは
ジャグリングのちょっとした強みといえるのではないでしょうか。

そう考えると、作中にジャグリングは登場しないものの
ジャグラーとしてはちょっと嬉しくなりますね。

ジャグラーはついつい期待してしまう

まだまだ可能性ばかりの高校生。
いくら才能があるといってもどんな道を選ぶかは彼の自由です。
でも、ジャグラーはついつい期待してしまうのです。
いつの日か、
東野先生が趣味のスノボについてエッセイを書いたように
ジャグリングについてのエッセイとか...

ちゃれんじ? (角川文庫)

ちゃれんじ? (角川文庫)

 

 

重松先生が書いたような
ジャグリングをする高校生のお話とか...

juggling-gohcho.hateblo.jp

 

あと、個人的には薫や春樹のことをもう少し掘り下げた
スピンオフ作品なんかも期待しています。

...気長に待ちましょう。

ではまた!

 

星に願いを、そして手を。

星に願いを、そして手を。

 

 

全国の数学教師が池田先生ならいいのに ― 池田 洋介『読むだけで楽しい数学のはなし』

こんにちは、ゴ~チョです。
今回はジャグリングは登場しないのですが
ジャグラーとしては気になる本の話をします。

池田 洋介『読むだけで楽しい数学のはなし』

読むだけで楽しい 数学のはなし

読むだけで楽しい 数学のはなし

 

 

著者は知る人ぞ知る頭脳派パフォーマー

まずはこちらの動画をご覧ください。
こちら、この本を書いた人です。


Yosuke Ikeda - Gauklerfestival Lenzburg 2016


こちら、この本を書いた人です。
もしかしたらこちらの動画のほうが有名かもしれません。
TVでも取り上げられたこのギミックを作った人です。


Revolutionary Sign Board

 

今回紹介する数学の本ですが実は著者はパフォーマーなんです。
ジャグリング界隈からしてみれば
改めて紹介するのは蛇足ともいえるほど有名なパフォーマーです。
正確には、パフォーマー&数学講師という
異色の二束のわらじを履いていらっしゃいます。
ジャグリング、マジック、パントマイムに
パズル的ギミックを織り交ぜた不思議なパフォーマンス。
そんなパフォーマンスをする池田先生が書いた数学の本です。
もうすでに面白そうな匂いがしますね。

ドラクエ、板チョコ、ビジネスホテル

「数学」というだけで敬遠しているそこのあなた!
とりあえずいくつかの小題だけでも見てみてください。

  • ドラクエマップに秘められていた真実
  • 板チョコを「無限」に食べる方法
  • エスカレーターの片側は開けるべきなのか
  • ビジネスホテルの蛇口は、なぜ調整が難しいのか
  • 「ガチャガチャ」コンプリートへの道
  • 声に出して読みたい数学用語
  • 不思議な暗号「きららきりい」を解読せよ

一見、数学の話とは思えないでしょう?
しかし読んでみるといつの間にか数学と結びついているのです。
さすが某有名予備校の数学講師といいますか、導入の運び方は毎回みごとです。
いきなり複雑な公式がドーンと出てくるなんてことはありませんのでご安心を。

数学好きな人は、小題から何の話に結びつくのか予想してから読む
というのも楽しいのかもしれません。

挿絵の池田先生がかわいい

数学の本の挿絵というとグラフか図形か何かだろうと思うかもしれません。
(もちろんグラフや図形も出てきます)
しかしこの本に出てくる「絵」はそれだけではありません。
ヤギにチリトリ、歩行者用信号機、悪魔、神様
はたまた駄菓子屋のおばちゃんまで登場します。
本文イラストを描いているのは池田先生ではなく、角 愼作という方です。
挿絵にときどき登場する池田先生の似顔絵が
絵本のようなタッチでかわいくて素敵です。

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数学教師こそ読め

池田先生には中学生か高校生のときに出会いたかったと
この本を読んでつくづく思いました。

数学を苦手とする人にも手に取ってもらえるようにと書かれた書物だと思いますが、
数学を教える先生にこそ読んでほしい一冊です。

ではまた!

 

読むだけで楽しい 数学のはなし

読むだけで楽しい 数学のはなし

 

 

ジャグリングが登場する作品の紹介(8)―西村了『ウォーターズ』

 こんにちは、ゴ~チョです。

今回の記事は『ジャグ作』8本目です。

 

西村了 監督『ウォーターズ』

ウォーターズ

ウォーターズ

 

 

様々な経歴を持つ7人のイケメン

路上パフォーマー、銀行員、インテリアコーディネーター、板前...
様々な経歴を持ちつつ前職を離れざるを得なかった7人のイケメンたち。
ホストクラブの面接を受けるも、入店初日に店長と思っていた人物が蒸発。
実は新手の詐欺だった!
仕方がないから取り残されたお店「DOG DAYS」を
ホストクラブとして7人で運営してしまおう!

というお話です。

作品の設定上の経歴もバリエーションに富んでますが
僕が注目したのは実際の役者陣の出演歴です。

なんと、7人中4人が仮面ライダーまたはウルトラマン経験者
さらにさらに

残りの3人中2人もウルトラマン及び仮面ライダー関係者。
実に7人中6人がいわゆる「未確認生命体」との戦闘に関与しています。
葛山信吾は過去記事でも紹介した『仮面ライダークウガ』にて
クウガの相棒ともいえる刑事・一条薫を演じています。

juggling-gohcho.hateblo.jp

 

最後の一人である平山浩行は怪物・怪獣との戦闘経験はないものの
朝ドラ『天花』で僧侶として煩悩と闘ったり
映画『男たちの大和/YAMATO』で水兵として戦争を経験したり
ドラマ『名前をなくした女神』で6歳児の父親として
ママ友たちの仁義なき戦いに巻き込まれたりしています。

 

小栗旬のジャグリング!

作中では、元路上パフォーマー・リョウヘイ役の小栗旬
ピエロメイクを施してジャグリングを披露しています。

3クラブカスケード3リングカスケード
本当に本人がやってる映像だと思います。
クラブのキックアップスタートもしていましたが
これは、足元に置いて蹴り上げるシーンとカスケードのスタートのシーンで
カットが切り替わったのでおそらく代役ジャグラーでしょう。

ホストクラブのシーンでは氷3個でのカスケードも披露。
「もう1個増やしてもいけますよ」と得意気に言うリョウヘイ。

ということは、5カスケードは自信ないのかな...

映画を見る限りジャグリング主体のパフォーマーっぽいのですが
4つまでしか投げられない彼のパフォーマンスを締めくくる大技は
いったい何なのでしょうか。気になります。
(ちらっとディアボロも映ってたから、実はそっちの方が得意な設定なのかな?)

映画の後半には他のホストとも連携して
フレア・バーテンディングの技も見せています。
ひととおり観終わった後、シーン確認のために
DVDのチャプター選択画面を見たところ「フレアーバーディング」の文字。

バーディングって何?「鳥」をナニするの?

はからずも脱字を見つけてしまいました。

 

意外に深い?店名「DOG DAYS」の意味

映画のタイトルである「WATERS」は、
本来の語の意味も用法も無視で日本人への直訳的な伝わりやすさを選んだのだと思います。
では、お店の名前の「DOG DAYS」はどうやって決めたのでしょうか。
そもそもどういう意味?と思い調べてみました。

dog days」は夏の一番暑い時期で、盛夏という日本語に近いです。北半球では夏になったら、シリウスというオオイヌ座にある星は太陽と一緒に昇ります。シリウスは夜空の一番明るい星なので、古代の人はシリウスの影響で夏がとても暑くなると信じていました。ですので、「dog days」はシリウスのオオイヌ座に由来しています。

引用元:

「dog days」の意味と使い方、また「dog days」の由来 | 英語 with Luke

 

第一の意味は「盛夏」や「真夏」といった意味だそうです。
ただ、下記のようにもう少し別の意味合いもあるようです。

dog days」という表現にはいくつかの意味があります。単に「真夏」という意味もあります。それから、株の世界では、「dog days」は不振の時期です。ほかにも、「ごろごろしている時期」や「のんびり過ごす時期」という意味になります。

引用元:

「dog days」の意味と使い方、また「dog days」の由来 | 英語 with Luke

 

7人のホスト達にとっては、元々の職業の不振の時期、いわば人生の夏休み。
本来の職から離れてはからずものんびり過ごしたこのひと夏は
彼らにとって「DOG DAYS」だったのではないかと思うと
なかなか滋味深い店名じゃないですか?

 

店名の由来を掘り下げてほしかった

先ほどあれだけ評価した店名の意味ですが
映画の中では店名の由来について語られるシーンは一切ありません
個人的にはそこが少し残念です。
(むしろ白雪姫のくだり正直要らねゲフンゲフン...)
映画を観る人には作品の考察好きな方もいますし
多くを語りすぎずに適度に謎を残したほうが
観たあとも語ってもらえる作り方なのかもしれませんね。

ではまた!

 

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お題「最近見た映画」

補追【感想】Juggling Story Project 第3回公演『春告鳥に花の香りを』

こんにちは、ゴ~チョです。

前回記事でJuggling Story Project 『春告鳥に花の香りを』
の感想を書いたのですが、少し書き忘れていたことがあったので
付け足します。

juggling-gohcho.hateblo.jp

 

前作と変わった点について(再度整理)

前回記事で触れた、第3回公演の変化をまとめると下記の3点です。

  • 声劇から有声劇
  • 「非日常の中の日常」から「日常の中の非日常」へ
  • 混在から住み分けへ

今回、さらに触れていきたいのは次の2点です。

  • 「テレビ中継」から「スタジアム観戦」へ
  • 暗転明転使用場面の絞り込み

以下、気づいたことを綴っていきます。

 

「テレビ中継」から「スタジアム観戦」へ

前作までのJSP作品は、頻繁に物語の場所が移動していた印象がありました。

一方、今作では物語の場所を思い切って「骨董屋の中」のみに絞りました。
モノの思念を表す「非日常」世界をカウントに入れると
厳密には一つではありませんが、「日常」側は一つです。
シーンが途切れる回数が少なくなったため
集中を切らすことなく物語を追うことができました。

 

この違いは、野球観戦で例えるなら
テレビ中継で観るのか、スタジアムに行って肉眼で観るのか
といった違いに近いかもしれません。

テレビ中継では、複数のカメラを活用して
様々なアングルに切り替えて映像を見せてくれます。
ベンチに座る監督の表情やブルペンの様子まで映します。
特定の選手にフォーカスして別途編集したエピソード映像を流す場合もあります。
とかく情報量が多いです。

スタジアム観戦では、得られる情報はリアルタイムに肉眼で見えるもののみです。
でも、却ってテレビ中継よりも集中して観ていませんか?
(機会として珍しく、もったいないから集中するという理由もありますが)

 

演劇も、視点は基本的に観客の肉眼のみです。
テレビ中継のように瞬間的な視点の切り替えはできません。
テレビ中継のような切り替えの連続を実現しようとすると
暗転明転を頻繁に繰り返さなければいけないでしょう。
演劇のシーンは「テレビ中継」よりも「スタジアム観戦」を
イメージして作る方がよいようです。

 

視点を絞ったおかげで、今作の物語の展開は非常にすっきりしました。

 

場所の選び方

物語の舞台を一つに絞りさえすれば、場所はどこでもよいのでしょうか。
今作では、物語の舞台の選択にも工夫があったように思います。
その工夫について書き出す前に、平田オリザ氏が書いた『演劇入門』から
「セミパブリックな空間」という概念を紹介します。

演劇入門 (講談社現代新書)

演劇入門 (講談社現代新書)

 

 そこで、私が一幕ものの舞台として選ぶのは、どうしても、プライベート(私的)な空間でもパブリック(公的)な空間でもない、半公的な場所となる。
 半公的と日本語で言うと、「反」公的と聞き間違えられることがあるので、これを口で説明するときには、「セミパブリックな空間」と私は呼んでいる(「セミパブリック」というのは私の造語だが、外国人と話すときでも、一応これで通じているようなので、間違った使い方ではないようだ)。
…(中略)…
 セミパブリックな空間とは、物語を構成する主要な一群、例えば家族というような核になる一群がそこにいて、そのいわば「内部」の人々に対して、「外部」の人々が出入り自由であるということが前提になる。

家族や慣れ親しんだ仲の人物同士のみがいるプライベートな空間では
持っている情報量の差が小さく
「会話」は弾みますが観客に有効な情報が伝わりません。
プライベートな会話で無理に情報を伝えようとすると
いわゆる「説明くさいセリフ」になります。
そして、道路や広場といったパブリックな空間では、そもそも会話が発生しません。
物語(特に一幕もの)の舞台としてちょうどいいのはセミパブリックな空間

 

今作の舞台である「骨董屋」は、まさしくこのセミパブリックな空間です。
下の図をご覧ください。

 

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「モノたち」を登場人物としてカウントすれば
客が入る前の骨董屋はプライベートな空間です。
モノたちと主人の「会話」だけでは物語は成り立ちません。
そこへ外部から少女が来ることで骨董屋はセミパブリックな空間に変わります。
少女と主人(あるいは少女とモノたち)の「対話」によって物語は展開していきます。

 

暗転明転使用場面の絞り込み

卵が先か鶏が先か、物語の舞台を一か所に絞ったおかげで
場所移動に伴う場面切り替えがなくなり
暗転明転を「日常」シーンと「非日常」シーンの切り替え
にのみ使えるようになりました。
そして今作において日常と非日常の切り替えは、同時に
会話優位シーンとジャグリング優位シーンの切り替えも意味しました。

 

これは個人の経験による体感でしかありませんが、
演劇を観るときに使う集中力とジャグリングのルーチンを観るときに使う集中力は
どうも違うのではないかという気がしています。

 

今作では、照明効果をうまく使って
観客の観るスイッチのスムーズな切り替えに成功したのではないでしょうか。

何にせよ、暗転明転の回数が減ったことで物語の「ブツ切り感」は解消されました。

 

王道パターンの発見

  • 日常の中の非日常構成
  • 話者とジャグラーの住み分け
  • セミパブリック空間の定点式
  • 暗転明転による観賞モード切替

今作でJSPが採用した上記の技法は、ジャグリングを含む有声劇を作るうえで
一つの王道になりうるのではないかと思います。
今後、他の団体でジャグリングを含む有声劇を作る際、有用な指針になるでしょう。
また、今回の記事で少し紹介した『演劇入門』という本は
演劇のシナリオを作ろうと思っているジャグラージャグラーじゃなくても)
一度目を通しておいて損はないと思います。

ではまた!

 

演劇入門 (講談社現代新書)

演劇入門 (講談社現代新書)

 

 

【感想】Juggling Story Project 第3回公演『春告鳥に花の香りを』

こんにちは、ゴ~チョです。

今回は3月4日・5日に上演されたJuggling Story Project 『春告鳥に花の香りを』
の感想を書いていきます。

変わったのは「声」だけではない

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juggling-story-project.com

 

Juggling Story Project(以下JSP)は京都を拠点に学生中心で活動する団体です。
今作『春告鳥に花の香りを』で公演は3回目になります。
過去作品との大きな違いは
今回初めて有声話者を含めたお芝居に挑戦することでしょう。
界隈でもその点が一番注目を集めたのではないかと思います。
しかし、変わったのは「声」だけなのでしょうか。
以下に僕なりの視点を記します。

 

物語の中のジャグリングの立場

物語の中にジャグリングを入れ込む場合、
大きく分けて下の2つのタイプがあると思っています。
どちらも前提として「ジャグリングは日常動作の中で異質」ということを
念頭に置いています。

 

◆非日常の中の日常(Aタイプとします)

  • ジャグリングが当たり前の世界。ルーチンが始まることに特段の説明は不要。
  • 基本的に提示されている「世界」は一つ。
  • 何らかの形で「世界」の説明をしないと観客は置いてけぼり。

 

◆日常の中の非日常(Bタイプとします)

  • ジャグリングは異質のもの。ルーチンには何らかの説明が必要。
  • 「世界」は2つ提示される(日常の世界と非日常の世界)。
  • 日常世界については観客との共通認識によってイメージを補える。

 

これまで物語仕立てのジャグリング公演ではどちらのタイプが
多かったかというと、Aタイプです。『GEAR』もこちらのタイプですね。

Aタイプが便利なのは、いったん世界観の共通認識を得てしまえば
ルーチンが始まる意味を随時説明する必要がなくなる点です。
この共通認識に関して、
京都大学のドーナツライブが積み上げてきたものは大きいと思います。

JSPもドーナツOBの方を中心にして結成されたこともあってか
過去2作はAタイプでした。
つまり、“ジャグリング学校がある世界”“ジャグリングが貴族の嗜みである世界”
という、設定自体が現実離れした非日常の世界でその世界の住人の日常を描いた作品です。
(事件が起こらなければ物語は進まないので「日常」とも言い切れないのですが...)

一方の今作は、一見ただの骨董屋という日常世界で
モノの思念という非日常世界を垣間見るという形式をとっています。
つまりBタイプです。

今作で、物語の中のジャグリングの立場が大きく変わりました。

 

話さない理由としての住み分け

なぜBタイプに変えたのでしょう。
今回、JSPの公演は「言葉」を手に入れました。
Story(物語)に重きをおくうえで
「言葉」は必要という結論に至ったのではないかと思います。
「言葉」を手に入れることで物語中に伝えられることは増えます。
しかし一方でジャグラーが話さないことがどうしても目立ってしまいます。
同じ平面に立っているはずなのに「言葉」で意思疎通ができないジャグラーと話者。
日常ではありえない光景。
それならばいっそ世界を2つに分けて
ジャグラーは異質な者として非日常側に逃がしてしまおう。
モノの精は人語を話せない。意思疎通にはジャグリングを用いる。
骨董屋の主人は唯一モノの声を翻訳して話せる。

そのように設定することで話者とジャグラー
一つの物語に共存させることに成功したのです。

日常と非日常が同時に存在するBタイプの構造は
ジャグラーと話者の「住み分け」には調度よいのではないかと思います。
そして、この方法は、ジャグリング・ユニット・フラトレスが多用する
「コロス」という手法によく似ています。

ameblo.jp

 

今後の方向性は

Bタイプであれば有声劇によるジャグリング公演が作りやすいのは確かですが
声劇によるジャグリング公演ならばBタイプが正解なのかというと
必ずしもそうとは限らないと思います。
ジャグラーも劇中で話せたら、もっと言えばジャグリング中にも話せたら
文字通り、話は変わってくるでしょう。
演者全員が話せるならば、Aタイプの作品を有声で作ることも可能なはずです。

ジャグリング・ユニット・フラトレス第2回公演『白い花』では、
話していた人間がコロスになる、コロスだった人間が声を発する、ジャグリング中に話す等
「住み分け」から一歩踏み込んだことにも挑戦しているように見えます。


JSPは今後、
フラトレスと同じ道を沿ってゆくのか、
今回見つけたこの手法を突き詰めていくのか、
また新しい手法を模索するのか...
主催者のみぞ知るといったところですが、気になるものです。

 

次回作こそ正念場か

と、ここまで各ルーチンの感想を期待した方はごめんなさい。今回は個々の演目よりも構造の変化に意識が向いてしまいました。ルーチンの良さは言わずもがななんです。

今回の作品で、JSPは大きな一歩を踏み出したように思えます。
その分、二歩目の取り方によっては大きくよろめく可能性もあるでしょう。
二歩目をどこに踏み出すか、次回作にも注目したいと思います。

ではまた!